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「明日は何を作ってくれるの?」

「大丈夫。もう考えてあるから...」

妻の後輩が結婚することになった。4年前に相手の男性と引き合わせたのは妻だった。僕も二人には会った事がある。東京に用があったついでに明日は二人でうちに泊まりに来るという。

翌日の夕方キッチンに入り準備に取りかかった。普段着の中華のおもてなしだ。

ずいぶん前にこの料理を本を開いて見よう見まねで作った憶えがある。卵餃子というその料理は餃子の皮の代わりに卵で包んだものだ。小さな一口サイズのミートオムレツのような感じ。包むのが難しそうだが、実は意外に簡単。取り出したのは中華のお玉。もし本格的な中華のお玉が家にあったら是非試していただきたい「面白い」料理だと思う。

卵餃子1

卵を溶いたら塩コショウで味付け。ここで僕は水か中華スープを少し加える。卵だけでは濃くなってしまうからカニ玉を作る時のように水で卵を「のばす」ようにするのだ。

餃子のあんは豚ひき肉にネギのみじん切りとおろし生姜を入れて塩コショウをする。卵料理はやさしい味なので個性の強いニンニクは入れない。

お玉を火にかけサラダ油をなじませて、キッチンペーパーで余分な油をふき取る。卵を流し広げる。餃子のあんを左半分にのせて、右から卵の皮を菜箸で左に折り込んで包む。意外に簡単。お玉の急な傾斜が餃子の大きさにぴったりだ。中華鍋でも出来ない事はないが、傾斜がゆるい。

包みあがった卵餃子を甘酢系のスープで2,3分煮込む。餃子を取り出して皿に盛り付ける。残ったスープを水溶き片栗粉でとろみをつけたら卵餃子にかけまわす。

スープで煮込むから中の肉に火が通ったかどうか心配する必要がないから安心。煮込まずにそのままいただく場合は先に肉を炒めてから包めば良い。

卵餃子2
卵餃子3
卵餃子5
卵餃子4
卵餃子を包む。火は中火で良い。

初々しいカップルがやってきた。部屋に案内し少し休んでもらった後に早めのディナーが始まった。

冷菜を出して話が盛り上がってきたところで席を立ち、次の温菜料理に取り掛かる。ふた皿ほど提供して少しお酒を飲み歓談に参加して、またキッチンへ。場がしらけるという声もあるが、中華は「熱いものは出来たてを」というのを言い訳にしてこれをいつもやっている。僕はこの方式を結構気に入っている。今回のようにゲストが妻と親しい間柄の場合は僕が料理している間に(僕の知らない)昔話に花を咲かせることができるし、何より僕は歓談が三角形で進んでいる状況が好きなのだ。

僕ら夫婦と年下のカップルという図はこちらの話が説教臭くなってないか、どうしても気になってしまう。2対2はそういう対立的な感じがするのかもしれない。妻と妻の友達とその知人。僕と僕の同僚と妻。というように話の流れに逃げ道を作ってくれるような存在がいると気が楽になるという事だと思う。

中華の土鍋(クレイポット)に麻婆豆腐を入れてみた。温めなおしがきくから、他にもう一品作った後にもう一度火にかけて熱々を出せる。

しめはあんかけチャーハンか坦々麺というのが定番になってしまった。他に手を広げようと思う事があるが、今のところ安定した味を出せるのはこの二つしかない。

煮豚
パプリカの炒め物
麻婆豆腐
あんかけ炒飯
(左上から)豚の肩ロースの煮豚。中華のごまだれでいただく。パプリカの炒め物。麻婆豆腐。カニのあんかけ炒飯。

翌日は天気が良かったので弁当を重箱に詰めピクニックに出かけることにした。「せっかく東京に来たんだから、二人で六本木ヒルズとか行ったりしないの?」と聞いてみたが二人は都会の喧噪よりピクニックの方がいいと言う。

木々の葉が青々と茂る木立の中を缶ビールと重箱を包んだ風呂敷を手に四人で進んだ。前を行く二人は紺色、白、黒といった穏やかな色合いの服を着ている。彼らの静かな性格せいか、まるで森で二匹の鹿に出会ったような気分になる。

緑地の芝の上でシートを広げて、おむすびをかじりながら他愛もない話から結婚式の事まで、楽しく穏やかな時間を過ごした。重箱の中は鶏肉のから揚げ、ゆでたブロッコリー、だし巻き卵にエビとアスパラの炒め物。何も特別なものはない。

二人
おにぎり
重箱
下り階段
鮭のおむすび。重箱の中はたまご焼き、から揚げ、ブロッコリー、海老とアスパラの塩炒め。

先週末に二人はとても素敵な式を挙げた。妻を含め出席者が遠くから近くから二人を静かに見守っている。おそらくそんな式だったんだろうと思う、森の動物たちが集まり鹿の夫婦を祝福するように。新郎はギターの講師で生徒さんに漬物屋さんがいて、山ごぼうの漬け物が引き出物のひとつだった。炊き立てのご飯と一緒に食べるのを楽しみにしている。

結婚式を1ヵ月後にひかえた4月の空の下で僕らとビールを飲んだ時の事を10年後、20年後彼らは憶えているだろうか。それは僕にとっても幸せな時間のひとコマだった。

まあ、そんな事はどうでも良い。

二人の未来にはそれを忘れてしまうくらい沢山の幸福があるだろうから。
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コメント
この記事へのコメント
>ちゃちゃまんぼうさんへCuisineより
ちゃちゃさん、コメントありがとうございます。ミニオムレツの時は牛のひき肉と玉ねぎのみじん切りをいためて塩こしょうして、ケチャップをからめたらおいしいんじゃないでしょうか。それを卵で包んで中に味があればお弁当には最高だと思います。ああ、おいしそう。
2008/06/07(土) 05:37:15 | URL | >ちゃちゃまんぼうさんへ #-[ 編集]
このたまご中華、昔TVで見たことあります☆
その時はお弁当用のミニオムレツとして紹介してましたが^^

Cuisineさんの中華ってお上品で
でも繊細な味付けがされていそうで
なんだかとってもほっこりしますね(*´∀`*)
こんなおもてなしされたら思わずためいき出そうです、凄すぎて。
2008/05/31(土) 12:08:03 | URL | ちゃちゃまんぼう #-[ 編集]
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